成年後見人を頼んでおくといろいろ便利らしいということを聞いたのですが、具体的にはどのようにして利用するのですか、というお問い合わせがしばしばあります。
結論から申しますと、成年後見人は、気軽に「頼める」ものではなく、裁判所に「選任」してもらわなくてはならないもので、手続はいささか面倒です。
成年後見とは、判断能力(契約したり、法律的な意思決定をしたりする時に必要となる能力。通常の大人が理解したり推測したり結果を予想したりする能力だと思っていただければよいでしょう)が欠けている人がいる場合に、その人の代理人として必要な意思決定をする「後見人」を裁判所が選任し、以後その後見人が本人の財産を管理するなどして本人の権利を守る制度です。
「成年」との限定があることからもおわかりのように、これは成年者、要は「おとな」のための制度です。繰り返しになりますが、「判断能力が不十分な」おとなのための制度です。
それでは、判断能力が不十分な「こども」にはこの制度は関係ないのでしょうか。
こども〜法律の言葉では「未成年者」〜は、未成年であるだけで判断能力が不十分であると法律上考えられています。保育園児に契約内容を理解する能力はまあありませんよね。
昨日生まれたばかりの赤ちゃんなら尚更です。
確かに、そのへんのおとなよりよほど知的に優れた未成年者(たとえば17歳の高校生)も現実に存在することでしょう。でも法律は、未成年者は判断能力が一律に不十分である、としています。そして未成年者に代理人が必要な場合は「未成年後見」の制度が適用されます。
※ただし未成年後見人が選任されることは多くはありません。未成年者に代わって法律的な行為を行う親権者が存在しないような場合に限られるからです。
成年後見人を選任するための手続については、稿を改めます。