成年後見人は、主として本人(被後見人)の財産管理を行います。
後見人に関しては、しばしば「認知症が進行している親のために、息子や娘などの家族が後見人になれるのですか?」「弁護士や司法書士などの資格のある人でないと後見ににはなれないのでしょうか?」というご質問を受けます。
結論からいいますと、後見人に「なれない人」と法律で定められている人以外であれば家族であっても後見人になれます。ただし、実際に誰を選任するかはもっぱら裁判所の判断です。
それでは、法律で定められいる「なれない人」とはどのような人でしょうか。
民法は次のように定めています。
(後見人の欠格事由)
第847条 次に掲げる者は、後見人となることができない。
一 未成年者
二 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
三 破産者
四 被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
五 行方の知れない者
各号の理由は次のとおりです。
1号 未成年者は、未成年者自身が自らの財産管理を十全にできない立場ですから除外されています。
2号 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人というのは、解任された後見人や親権喪失の審判を受けた親権者などといった法定代理人、あるいは解任された保佐人や補助人をいいます。要は、裁判所から「他人の財産を管理する法定代理人にふさわしくない」と判断された人、ということです。
3号 破産者は、破産法により破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を失う(要するに自分の財産の管理権を失う)ので、他人の財産管理を行わせるには不適切です。
4号 後見に付される本人と訴訟関係にあった人が後見人となって本人の財産を管理するのは、本人と利害が対立する者に本人の財産を委ねることになり、不適切です。
5号 行方不明者はそもそも財産管理の仕事ができません。