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東京都千代田区の弁護士事務所(一般民事、離婚、遺言、相続、交通事故、後見・財産管理 等)

介護保険制度開始から25年

お知らせ

介護保険制度がスタートしたのは2000年(平成12年)4月1日でした。25年前のことです。
制度開始前は、高齢者に対する介護サービスといえば行政側がサービスの内容を決め、利用者はこれに対し所得に応じた負担をする、というものでした。

このように、自治体が、利用者が福祉サービスを利用できる条件を満たしているかどうかを審査しその上でサービス利用の可否やサービスの具体的内容を決定する仕組みを措置制度と言います。ちなみに保育園(認可保育所)は現在もこのような仕組みです。

しかしながら「措置」による場合は利用者(福祉サービスを受ける高齢者)が自由にサービスを選ぶという発想にはつながらず、措置された「お仕着せ」を受け入れるか否かという選択しかありませんでした。したがって、サービスを受ける本人の自己決定や自由意思が十分に考慮された制度とはいいがたいものでした。

介護保険制度は、この状況を打破するために作られました。
要介護状態になった人が自分の能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにそのような人に対して必要な介護サービスを提供すること、さらには身の回りの世話だけにとどまらない「高齢者の自立支援」を理念として。

このことを福祉の世界では「措置から契約へ」などと表現しています。
「公」から一方的に指定されるサービスではなく、「私」的な契約によってサービス内容を自ら決定する方向へ、介護福祉の構造そのものが転換したのでした(社会福祉基礎構造改革)。

現在は、サービスを受ける人の権利擁護や自己決定の尊重の重要性が、25年前に比べて格段に高く認識されるようになっています。
成年後見制度については新しい問題も日々生じていますが、この稿はひとまずここで終わります。

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